ヨーロッパではマスト!車に乗るとき、選ぶべきは“ディーゼルエンジン”
最近クルマの話題でよく耳にするディーゼルエンジン。あなたはディーゼルエンジンのことを知っていますか?
そもそもディーゼルエンジンというのは、どんな仕組みなのでしょうか? ガソリンエンジンとはどこが違うのか? どうして燃費がいいのか?
実のところあまりよく知らないディーゼルエンジンの特徴や仕組みなど、今回はわかりやすくちょっとまとめてみましょう!
そもそも軽油というのは何なのか?
ディーゼルエンジンを積んだ車に使う燃料は、“軽油”です。
軽油というのは、ガソリンの製造過程でできるものになります。
原油からは、それぞれの用途に応じ、様々な種類の燃料を精製することができます。
軽油ももちろんその中のひとつ。ガソリンや重油に比べて比重が軽く、比較的簡単に精製できる燃料になります。
軽油は、ガソリンの精製過程で必ずできるものなんですね。つまりは、ディーゼルエンジン車の普及促進は、限りある資源を有効活用することになるメリットが大きいのです。
ガソリン車のようにプラグは使わず、自然発火のシステムを採用
ディーゼルエンジンの“ディーゼル”という言葉は決して軽油という意味合いではありません。
これは、発明者の名前になります。1892年に、ドイツ人技術者のルドルフ・ディーゼルによって、システム上の理論が構築されたそうです。その翌年、特許が認められて、その5年後に商業的な実用化が叶いました。
しかし、歴史的にはガソリンエンジン実用化よりも4年も遅く、まずはガソリンエンジンが主流になっていたところに参入する結果になったわけです。
初めは工業用の定置動力を目的に開発が進み、試作機はなんと単気筒7070㏄という大型のエンジンだったということなんですね。
ディーゼルエンジンの特徴としては、燃料着火に圧縮された空気の温度を使うこと。ガソリンエンジンはコンロのように、火花を起こして着火しているのですが、ディーゼルエンジンは圧縮して高温になった空気の中に燃料を吹き出して、自然に発火するようにしています。
ディーゼルエンジンを積んだ自動車の燃料には、一般的に軽油が推奨されていますが、250℃以下で着火する燃料であれば何でもいいとのこと。
食用油とメタノールを反応させて精製する“バイオディーゼル”というものが最も有名なのですが、今有望視されているのは、植物の種子を絞った油“ヤトロファ”が軽油の代替え燃料になると見られています。
<ディーゼル=黒煙>というイメージはもうない
ガソリンエンジンといえば、点火コイルやスパークプラグが必ずいりますが、ディーゼルエンジンにこれらのアイテムはいりません。その代わり、低温始動するときに着火しやすい環境をつくれるように、電熱式ヒーター(グロープラグ)が標準装備されています。
ディーゼルを燃焼させると、黒煙がモクモクとあがるというイメージがありますよね。旧式のトラックやダンプカーなども軽油で走っているために、そのイメージは払しょくしきれません。
しかし、現在では最新テクノロジーを採用している自動車メーカーも非常に多く、黒煙(PM)はほとんど出ません。
結局、技術力が上がったことにより、黒煙を濾過するハチの巣状に焼いたセラミックフィルターの品質が向上したためです。高性能フィルターで粒子状物質をしっかりと確実に捉えてくれます。
実際、テールパイプの吹出口に純白の布を当てても汚れることはありません。
さらに、このフィルターというのは、高性能の触媒機能を併せ持ち、捉えた煤などを無害な物質に変化させてから排出するという利点を持ちます。ですから、フィルターの目詰まりなどによる経年劣化などの心配はまずないのです。
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンのメリットデメリット
ディーゼルエンジンのメリットといえば、一番に挙げられるのが《熱効率が高い=燃費の良さ》です。
ガソリンエンジンの最大熱効率は約39%。一方、ディーゼルエンジンは約45%にも上るわけなんですね。さらに、ディーゼルというのはノッキングがありません。ですから、小さなエンジンに高過給をかけ、より大きなトルクを引き出すことができます。
しかし、ディーゼル車は燃料噴射圧が高いので、高精度の燃料噴射装置を採用しなければならないし、かなり複雑な排ガス後処理装置も高額。コストがかかって、車両価格自体が高くなってしまうのです。
ガソリンエンジンというのは、排ガス処理装置がかなりシンプルにできていて、エンジン自体が複雑ではありません。さらに軽量で、燃焼圧力もディーゼルエンジンよりも低いので、特にいうと騒音や低周波域が小さいのです。
ディーゼル車が燃費が良い理由3つ
簡単に言えば、なぜディーゼルエンジンの燃費が良いのかの理由は3つあります。
まず1つ目は、《絞り損失が皆無である》こと。2つ目は、《空気利用率が高い》こと。3つ目が、《圧縮費が高い》ことです。
ガソリンエンジンは、燃焼限界濃度と排ガス処理の関係から、ガソリンと空気の比率を《1:14.7(6.8%)》に保つことが重要になってきます。ですから、必要とするパワーが小さいときには、ガソリンの噴射量を減少させた分だけ、吸気する空気量を少なくすることが必要になり、それをスロットルバルブで絞ることで行うわけです。
しかしながら、吸気管を絞ってしまうと、ストローを加えた状態で深呼吸するのと同じ状況になってしまい、空気を吸い込むことで急激にエネルギー消費が起こってしまいます。
これとは逆に、軽油の燃焼限界比は《1:200(0.5%)》と、かなり薄い混合気でも着火。ですから、空気を吸えるだけ吸って、噴射する軽油量をうまく調整すれば、スロットルバルブの《絞り損失がない》わけです。これは、2つ目の《空気利用率が高い》にも繋がります。
3つ目の《圧縮費が高い》理由でいえば、爆発により生まれた燃焼ガス圧は、できる限り長く使用した方が効率的ではあるのですが、そのためには圧縮費を高めた方がいいわけです。
ディーゼルは、前述したとおりノッキングの心配がなく、一昔前であれば、20.0という驚異の圧縮費の車種もありました。
しかし、今では排ガス規制の関係で、有害なNOx(酸素と空気の中の窒素が反応してできる規制対象物質)が多く発生してしまうので、最大で約16.5程度に設定されています。
なぜディーゼルは、ヨーロッパで大人気なのか
ヨーロッパではディーゼル車が主流になっています。それはなぜなのか?
まず、最も大きな理由としては、一番に“燃費がいい”からです。
特にヨーロッパでは、高速道路を使用した長距離移動が多いこと。その結果、走行距離が多いということになってしまいます。さらに、高速運転での燃費に優れたディーゼルエンジンのメリットを強く感じられるわけです。
ヨーロッパ各国というのは、日本のように軽油がガソリンに比べて、べらぼうに安いということはなく、逆に軽油の方が高い地域まであるそうです。しかし、ディーゼルエンジンの経済的なメリットは大変大きいそうです。
日常生活の中で、低回転でも快適に走ってくれるディーゼル車の方が実に気持ちがいいということをヨーロッパの人々は、実感しているということになるわけですね。
車に対して厳しい目を持つ、合理的な思考を持つヨーロッパの人々は、やはりこれからも、ディーゼルエンジンを選び続けると思います。
(C)写真AC
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