シトロエンから独立したブランド・DSは、日本の市場で受け入れられるのか?
「シトロエン」を名乗らないDSの魅力とは?
最近読む街乗りで見かけるようになった、フランス車の新ブランド「DS」。この謎のブランド、一体何者なのだろうか?
実はこの「DS」、これはシトロエンから派生した新生ブランドなのだ。元々は、シトロエンDS、そのモデルシリーズが別会社化されて、ひとつのブランドとして独立したものと考えればいいと思う。
なぜ本国は、DS3、DS4、DS5という人気シリーズから「シトロエン」を名乗らなくなったのか……。
「シトロエン」は決意したのだった。大衆車であるシトロエンとは別格の「DS」を作りあげて、“フランス伝統の高級車の復活を目指す”という気概で、このプロジェクトに踏み込んだわけだ。その意気込みは、具体的に言えば【前衛的=アバンギャルド】をコンセプトにした新たなる挑戦だったわけだ。
新ブランドを周知させるには時間と仕掛け、金がかかる
その意気込みがあったのはわかるのだが、新ブランドの知名度を浸透させるためには時間と仕掛け、金がかかる。ブランドの知名度を上げるためのディーラーネットワークの確立と徹底は、とてつもない手間がかかるわけだ。
それは本国フランスだけでなく、他国、日本でのプロモーション活動にかかっているわけだが、数年前に上陸した日本では、これといって目立った広報活動は行われていない。せいぜい、ハイステータス層が読む高級ファッション情報誌に掲載されたり、ディーラーのお披露目パーティーくらいのものだろう。
シトロエンのお膝元であるパリで行われたDSブランドのスターティングパーティーは、まさにDSウィークと呼ぶにふさわしいほど、派手派手しく、パリを「DS」が占拠したそうだ。ルーブル博物館徒歩数分の4,000㎡のチュイルリー公園にDSエキシビションを設置、パリ郊外のサーキットでも初代「DS」の60周年記念イベントも開催された。
さらに最終日の日曜日には、600台を超える「DS」がシャンゼリゼ通りを一斉パレードしたという規模の大きさだった。
フェイスリフトの大幅な変更がポイントに……
最新型の「DS」は、フルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジという予想を裏切る思いきりで、「DSブランド」のオープンとなった。
ここでのポイントは、おもにフェイスリフトが大幅変更のポイントに絞られた。グリルとバンパー形状を一新し、目新しさがあふれるLEDライトを多用したヘッドライトを採用。つまり、このフェイスリフトがテーマになったわけだ。マイナーチェンジでありながら、このコンセプトを重要視して、意匠変更されたのだった。
このフェイスリフトが日本でお目見えしたのは秋で、いままでどおりのガソリン1.6リッターエンジンと6速ATの組み合わせで、その姿を現したのだ。
さらに、60周年記念限定車、エンジンフード下におさまったディーゼルユニットを抱えたディーゼルモデルもお目見えとなった。
2リッターでも、3リッタークラスの馬力を感じる
一時メルセデスベンツが採用して話題になったAdBlueの排気ガスクリーン化。簡素化していえば、触媒内の排気ガスに尿素を噴霧。窒素酸化物を窒素と水に分解して、クリーン化する。シトロエンと同じPSAグループ内でプジョーが実際に採用して、実績を積み上げた技術の進化版なので、信頼度は高い。
ディーゼルエンジンの振動やアイドリング音のうるささなどもまったく感じることがなく、ネガティブ要素などは正直言ってない。ディーゼルのBMW3シリーズと同じ程度の静かさだ。
踏み込んだときの力強さは、踏み込んだ瞬間に実感できる。出だしから力強いのだった。その感動的な力量は、3リッタークラスの排気量程度のパワーを感じてしまう。
DSが日本で人気ブランドになる可能性は高い
現在のトルコン式はレスポンスも非常によく、満足のひと言。
乗り味も、よりまとまりと安定感が強く、ザックス社との共同開発で生み出された油圧ダンパーもかなりいい。
この「DS」の乗り味と今後の展開は日本でも非常に期待だ。柔らかなフランス車ならではの走り心地とは一線を画した「DS」の面白さは、日本の輸入車好きのココロを揺さぶることが十分できると思う。
それを証拠に、「DSブランド」の車は、現在非常に人気があり、納車待ちの状態が続く車種もあるという。祝! フランス高級車の復活!
(C)DS公式サイト
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取材・文/桜川しげる(自動車ライター)
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