編集長の発禁の著書・続編『木屋町DARUMA~障碍者非合法地帯~』

あなたは、当サイト編集長の丸野裕行の著書『木屋町DARUMA』を知っていますか?

遠藤憲一さんの主演で映画化され、編集長丸野は、原作者と脚本、プロデューサーを務めました。

《キャスト》

出演:遠藤憲一 三浦誠己 武田梨奈 木下ほうか 寺島進 木村祐一

《スタッフ》

製作: 株式会社マルノシンヂケイト、木屋町DARUMA製作委員会   企画:株式会社オトコノアジト
プロデューサー: 丸野裕行 原作・脚本:丸野裕行  キャスティングプロデューサー:木下鳳華
ラインプロデューサー:氏家英樹  美術: 井上心平  照明:鹿野克巳  録音:山口満大  特殊造形:仲谷進(KID’S COMPANY)
配給:アークエンタテイメント  DVD販売元:東映ビデオ株式会社

四肢を失った男の本格ハードボイルド

京都の歓楽街は複数あるが、若者が集い、過去には刑場のさらし首の血を洗った高瀬川が流れる木屋町を舞台に、肉体に十字架を背負った元敏腕ヤクザの哀しい物語がはじまる。

主人公・勝浦は、京都の街を取り仕切っていた元やり手ヤクザ。彼は、5年前のある事件の落とし前をつけるために、四肢を失った。彼の今の生業は、その不自由な体を使って、債務者に嫌がらせをして借金を返済させる取り立て屋だ。

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今の相棒・坂本と共に債務者の家を回り、取り立てを重ねる勝浦。しかし、5年前のあの事件には思いもよらないカラクリと陰謀があった。

世相風俗のタブーに常に挑戦し続ける作家・丸野裕行が綴る、ニュージャンル《実話系ハードボイルド》が、あなたの心を刺激する。

 

ついにその続編を全世界電子書籍発売

複数の出版社から発禁処分を受けて、書籍化は電子書籍出版のみ。映画が完成しても、世論の声を気にした映画館は作品の上映を拒みました。小説版、劇場版共に完結したかと思われた、この『木屋町DARUMA』ですが、あなたはこの作品に続編があったことをご存知でしょうか?

今回は、英語翻訳版『木屋町DARUMA』の全世界電子書籍発売にむけて、その続編『木屋町DARUMA~障碍者非合法地帯~』の冒頭部分をここで公開したいと思います。

『木屋町DARUMA~障碍者非合法地帯~』 丸野裕行

しびれるような感覚が躰をがんじがらめにしている。身じろぎすれば、激痛が脳天をつきぬけた。なんや、これは。何が起こったんや。

俺は、かすかにひらける視界を時間をかけながら開いて、ただなんとなく自分の置かれている状況を理解した。そこにあったのは、無数の管である。しかもその管は自分に向け、突き刺さっているらしい。ぶらさがったビニールのパックからは、命をつなぐためにぽつりぽつりと水滴がしたたっている。

何があったのか。なぜここに横たわっているのか、まったく理解ができないまま、首を亀のように回す。頭元には「勝浦茂雄」という見覚えのある文字と医師の名前があった。ひととき、急な睡魔にまどろみ、それからは規則的に鳴り響く電子音に夢の世界から嫌がらせのように引き戻される。

階上からの銃声。古澤。引き金を引く指。自分の人生をやつは弾いた。

生きてんのか。目を閉じると新井の軽薄な唇が近づいてきた。白いファミリーカー。来る。坂本の手足がマリオネット人形のようにありえない方向に折れ曲がっていた。心拍数を刻む電子音に合わせ、瞬きをすると意識がさらにはっきりとしてくる。まるで目の前にかかったヴェールが消えていくようだ。自分は生きながらえている。

それを教えてくれたのは、そばにあった心電図モニターの激しく揺れる波であった。

坂本が女性看護師に連れられてやってきたのは、俺の意識が戻って、意識が戻ってから三日が経った頃だった。

ちょうど、包帯を交換する時間だったのだが、俺の傷は思った以上に酷く白い帯には鮮血と体液のこげ茶色にひろがり、固執するように肌に貼りついていた。我慢しながらも、交換を終えたのだが、ふとあのときの古澤や木屋町に巣食っていた悪党どもの顔が蘇ってきた。。

坂本はいったいどうなっているのか。もちろん、坂本の状態が望ましいものではないことはわかっていたし、期待もしていない。あんな状態のまま、棄てられた人形のように新井が運転していた白いファミリーカーに轢かれているのだ。一ミリの希望もない、そんな気持ちで俺は差し出された重湯をストローで口に含む。

看護師が押してきた車椅子。そこには粘度の強い涎を膝まで伸ばした妙に屈強な体躯の男がいた。自分で車いすの車輪を回すことすらできない、いわば廃人にも似た状態の坂本だった。

「こいつ、どうなったんですか?」

暗い影のある横顔の看護師に訊ねると、首を横にふる。

「外傷性の脳障害ですね。二度もそんなことを経験してしまうと、もう回復は望めません。親族はいないんですか? 坂本さんは」

「わかりません。確かおやじがいるとは言ってましたが」

「頭部以外の回復は早いのですが……。数十箇所の複雑骨折がもう治ってきてますから」

坂本とやり直すことはできなくなったということになるのか。俺は自嘲するように鼻を鳴らすと、坂本から視線を移した。体を突き抜けるような太陽の光、窓の外は晴れ渡っている。

「それと、犯人はちゃんと捕まってます、そう刑事さんが伝えてくれと。事情聴取にくるそうです。先生呼びますね」

≫≫本編に続く

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